妹へ
元気ですか?
今日は転職と転機について話します。
お姉ちゃんは30歳になる直前、大学を卒業してからずっと働いている大学の同級生を横に、自分にキャリアが無いことに焦っていました。住む国を変えたのももちろんありますが、大学卒業後、住んでいたところが不景気で仕事がなかったということもあります。
そんな時、「まだ若いんだから焦らなくても大丈夫」なんてやさしい声を掛けられると、「30歳になって、ちゃんとした仕事に就いていなかったら、歳をとったらますます誰も雇ってくれない!」と思っていました。実際に一度ちゃんとした職に就くことができて、次にまた職も見つかるだろうなという経験から、転機はいつになってもやってくると信じられるようになりました。
実際に周りにも、30代で大学に入りなおして40代でやっと夢の職業につけたカウンセラーの友達もいます。そしてお母さんも、50代で新しいキャリアを始めようとしています。
前の職場を離れる時、同僚に今後の計画を話していたら「その勇気がうらやましいよ」と言われました。そこで気づいたのが、お姉ちゃんにとってはずっと仕事をしてお金を稼いでいるあなたのような人達を「人生ちゃんと生きていて、大人としてちゃんとしていて、お金がある大人としてちゃんとした経験をしていて羨ましいな」と思っていたけれど、そういう人達から見れば、お姉ちゃんは自由で仕事を辞める勇気があると思われているようです。
お姉ちゃんは仕事の無いときに、仕事をしている友達と旅行に行くようなことができず、レストランやバーもお金の心配が常にあってあまり行きませんでした。ドイツに来て他の外国人と友達になると、仕事や夫の仕事でドイツに来ている人ばかりで、そういう人達は大抵お給料もよく、一緒にボートを借りたりしているほどです。こういう時、自由の代償というか、仕事がなく自由であることを楽しめず、むしろ、金銭的な心配を不自由だと感じていました。
しかし、所有すればするほど失う物も増えるとはよくいうもので、長年の職業経験も、定期的に入ってくる安定した収入に基づいたライフスタイルも、年数が経てば経つほど、手放し難くなっているという印象を受けます。お姉ちゃんにとっては、急に仕事を失ったことも経験しているため、いつ何があるかわからないという気持ちが強く、未だに収入に合わせたライフスタイルを築けずにいます。でもその分、高いアパートも手のかかる犬もいないため、身軽に仕事を辞めることができるし、変えることもできます。
今のお姉ちゃんなら、30になったばかりでキャリアが無かったり大きなキャリアチェンジをするには遅すぎるという人を見たら「まだ若いんだからこれからどうにでもなるから大丈夫」と言います。でも当時のお姉ちゃんは、「人の人生だからってそんな無責任な」とか「自分はそれでどうにかなったからといっても、私の人生もどうにかなるとは限らない」というようなひねくれた態度で、このアドバイスを受け入れることができなかったと思います。
でも若くて健康でいる限りはどうにでもなります。
今、やっと2月に始めた自営業の仕事で落ち着いてきて、これからどんなことをやりたいか、どんな人生を送りたいのかということを考え始めています。35歳になるのに、そんなことを考えていて大丈夫なの?と言われるかもしれませんが、人生を変えることは死ぬまで可能です。
ただ転機はそれほど頻繁には訪れません。もしも、自分の人生を変えたいという意思があれば、かならず転機がやってきます。それをつかむ準備ができていないと、次の転機が訪れるまでしばらく待つことになると思います。
転機をつかむには、すぐに引っ越せるよう、ミニマリストに生きて、借金をつくらず毎月の返済がないようにし、貯金が十分にあって数カ月はお金の心配をしなくてもいいようにし、周りに人生の方向転換をさせたいということを言っておくことです。
友達が会社を立ち上げるから一緒に来ないかと言われたり、世界一周旅行を一緒にしないかと言われたり、何があるかわかりません。仕事を辞めるたり転職するのは勇気がいることです。特に何年も働いている会社だったらなおさらです。でも、人生を変えたいという気力があれば、転機を利用して人生を大きく変えることができます。
先のことは何もわからないので、もちろん現状維持することのほうが、安全な賭けですが、急に職を失ったり、自分の健康に何かおきたり、何があるかわかりません。時々自分の人生を見直して、他にちょっとでもやりたいことがあるのであれば、それを行動に移せない理由を考えてみてください。
お姉ちゃんより