妹へ
元気ですか?お姉ちゃんは元気です。
今日は親の愛情について話します。
最近、映画『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』の元になったフランク・アバグネールさんの話を見つけました。
この人は、16際の時に、何も知らずに家庭裁判所に連れて行かれて、自分の知らない間に離婚を決定していた両親の間に立たされ、裁判官に「お父さんとお母さんと、どっちと一緒に暮らしたいですか」と聞かれたそうです。フランクさんはショックでそれに答えずに、裁判所を逃げだしそのまま家出し、詐欺師になり、お父さんとはその日以来顔をあわせたこともなくて、お母さんとも数年連絡を取らなかったそうです。
でもこの人が自分の波乱万丈な人生を語って、最後に親の大切さを語っていたのが印象的だったので、親の愛情について話すことにしました。
フランクさんは、刑務所にいる間に、父親が死んでしまって会うことができなかったけど、子供の頃を振り返って、父親の愛情をたくさん受けて育ったということを言っています。そう自覚できるくらい、親からの愛情表現があったということです。
親の愛情を十分に受け取れなかった人達
色んな人と接してきて、親の愛情表現が薄かった人たちや、親に認めて貰えなかった人が、大人になってもそれを引きずって、苦しんでいる姿をよく見かけます。
「自分は親の愛情を十分に受けて育たなかったから」という、自覚がある人もいれば、ない人もいます。
自覚がある人は、セラピーに行ったり、自己啓発本を読んで自分に愛情を注ごうとしたりします。自覚のない人は、恋人に親からもらえなかった愛情を求めたり、働きすぎるくらい働いて、誰かに認めてもらいたがっていたり、ただただ人間関係・恋愛関係がうまくっていなかったり、自分の子供を虐待してしまったり、何かしらうまくいっていないことがあり、それを原因を知ることなく自分のせいにしていることがあります。
親の愛を知らずに育ったら、それを自然に教えることはできません。与えられなかったものを、後になって自分に欠けていたと自覚するのも難しいことです。
親が病んでいて育ててもらえなかった
精神的に不安定な友達の実家でクリスマスを過ごした時に、精神病棟に何年も住んでいるお母さんのところに連れて行かれました。「元気にしてる?」ということさえも聞いてくれないお母さんと友達のやりとりを見ていて、愛情を貰いたくても、無理だから、だれも責めることもできないし、本当に辛い思いをして育ってきたんだなということを感じました。しかも自分が生まれてから、お母さんの心が病んでしまったから、こうなったのは自分のせいだと思い込んでいるところもあるようでした。
こうやって、自分の問題の原因が親から愛情を注いでもらえなかったせいだとわかっていても、親がどうして自分に愛情を注げなかったかを後で知ったとしても、子供時代をやり直すことはできず、大人になっても何とか不足しているものを何かの形で補おうとしている人たちが世の中にはたくさんいます。子供時代にお父さんがほぼ不在だった人が、すごく年上の男の人と付き合ったり、どうせ自分は愛されれることがない人間だからと、虐待する人やよくない人と付き合ったり、その方法はいろいろです。ちゃんと子供時代を過ごせず早く大人にならなければいけなくて、大人になってから、自分の子供と遊ぶことなどを通して、童心にかえって遊んで子供時代をやり直したという話もききますが、幼稚化するという話も聞きます。
親の薄情はボケてからも忘れられない
知り合いのボケたおばあちゃんが、母親ではなく乳母に母乳をもらって育てられたというコンプレクスがまた浮上して、何かあるごとに「私は乳母に育てられたから」とボケて言っていたのを覚えています。裕福な東京のお嬢様として育ったため、実母ではなくて乳母に育てられたというのは恥ずべきことのようで、ボケて幼児化して、こういう話をするようになったのだから、子供の頃の親への愛情の渇望の強さが感じられます。
愛情を求めるのは動物にも共通すること
親の愛情が必要なのは、人間だけではなくて動物も同じです。小さいときに沢山お母さんに舐めてもらったネズミは、健康で頭脳の回転が速く成長するという話を聞いたことがあるかもしれません。小さいころに抱っこを沢山してもらえるかそうでないか、スキンシップがその後何年も影響するようです。さらに宿題を見てもらったか、褒めてもらえたかも影響します。
愛情をもらえなかった人達を理解する
愛情不足の環境で育った人たちがどれだけ苦労しているかは、特にうちのように愛情のある家庭で育った人には計り知れないものがあります。お母さんの生い立ちをみてみると、自分が愛情をもらえずに育ったのに、普通の子育てをするのにどれくらい努力が必要だったのかわかると思います。お母さんは、お姉ちゃんが子供のころカウンセラーの先生に子育てについて勉強会といってアドバイスをもらっていて、自分とは違った形で自分の子供を育てようと頑張っていました。
だから、一生懸命育ててくれた親に感謝の気持ちを忘れずに、そして、子供の時に愛情を教えられなくても大人になって子育てを頑張っている人や、自己啓発に力を入れている人の頑張りをわかって、そして愛情不足だったという自覚がなくて迷っている人たちの苦労を知って、人の気持ちのわかる大人になってください。
お姉ちゃんより