年齢を重ねること

妹へ

元気ですか?お姉ちゃんは今、ポルトガルに来ています。

今、この旅行で、2つめのシェアハウスに9人で住んでいますが、大体が若い人たちです。前のシェアハウスに、なんと19歳のルームメイトがいました。福島の話をしたら「え、原子力?もしかして広島のこと?」というので「福島だよ、ほら、10年前の津波と地震」と言ったら「その頃、8歳か9歳だったらからニュースとか見てなかったし」といわれました。

まあ、それはおいておいて、今日は年齢のギャップを感じたこれを機に、年齢を重ねることについて話します。

誰も見てない?

お姉ちゃんは同年代しか恋愛対象として見られないので、40歳というとあまり歳の差はなくなってしまいましたが、40歳の男性はまだまだおじさんです。しかし見た目も性格もいいなと思う20代の男性からは、恋愛対象外にされていることを感じるようになりました。

2月にエストニアのスーパーのレジで並んでいる時、視線を感じたので、そちらを見ると、かわいい感じの20代の男の子がこちらを見ているようでした。そしてその時「あ、こういうことってしばらく経験してないな」ということに初めて気が付きました。

そして、自分の番がまわってきて、レジ打ちの人がビールをスキャンしてから「IDを見せてください」と言ってきます。こういう時はもちろん、運転免許などを見せなければいけないのですが、つけていたマスクを下にずらしてほうれい線を見せて「I’m old」と言ったら「あぁーおっけー」という感じでやりとりが終了しました。

マスクをつけていなかったら、男の子もこっちを見てこなかったと思います。

私はおばさんなんだ

19歳の人たちと接する機会は全くないため、ルームメイトとしてちょっと話かけてみると、すごく恥ずかしがり屋のようで、ちょっと震えていたりして、そわそわしていたり、お姉ちゃんと話していると緊張しているのが伝わってきました。

お姉ちゃんはその子を同等として扱っていたけれど、あっちからすればお姉ちゃんはおばさんなんだということにしばらくしてから気が付きました。その途端、自分をこの男の子の同等という位置に置くのはちょっと無理があるということに気が付き、変なスイッチが入りました。

「私が19歳だったころはね・・・」と、先輩風ではありませんが、この若い少年に無性にアドバイスしたくなったのです。旅行をするなら若いうちだよ、お金が全てじゃないからね、大学に行かなくても将来なんとかなるものよ、と聞かれてもいないのに勝手にアドバイスをしている自分を自分で見ていて、これは痛いなとちょっと思いました。

恋愛対象外

今、9人のシェアハウスに住んでいて、大体の子が20代前半です。

イタリアとドイツの24歳の男の子たちは話しやすくて面白いのでキッチンなどで見かけると積極的に話しかけています。

5年くらい前だったら、積極的に話しかけられるほうだったのに、今ではこうやって自分から話かけていかないと相手にされません。前だったら、冗談を言ってきてからかったりしてくるはずだったのに、今では年上として尊敬しているので、変に気を使われています。「34歳なんですか?いや、若く見えますよ」と思ってもいないお世辞さえ言われるのです。

家の外でも、他の旅行者と会って一緒に出かけると、これもまた年齢を感じます。一人だけ30代以上ということもあり、みんなが「今夜飲みに行こうよー」という時に断ると、一生懸命誘ってきません。別に一緒に行きたいとも思わないのですが、誘われないのはちょっと寂しいなと思います。

ツアーグループでも、自然に今後一緒に何かする予定ができていきますが、そこでも自分から入っていかないと、誘われない感じがしました。

後で友達に話すと「きっとこの人はもう大人だかな、僕たちなんかと一緒に遊びに行きたくないだろうなって気を遣ってくれてるんだよ」と言いますが、可愛かったらちょっとは誘ってきてくれるものです。

たまたま同じ年頃の子達と一緒に遊びに行った時も、道ばたで男の人に声をかけられていくつかと聞かれて、「何歳だと思う?」と聞いたら、他の子達は20代だと思われたのに、お姉ちゃんだけ「うーん、さんじゅう・・・に?」と30代以下には見られません。これはちょっとショックですが、もう30代半ばなので、無理はないのかもしれません。

透明人間

なんとこの恋愛対象外にされているという話をしてわかってくれたのが、お母さんなのです。もちろん、お母さんとは次元が違うのですが、対象として見られていないことやスルーされていることをよくわかってくれました。「そうそう、あるある」とお母さんから賛成されているのを聞いていると、自分も中年に近づいているのかなというのを感じました。

このことについて話していた男友達に言われたのが「今さ、そうやって対象から外されたばかりだから、この状況をどう処理していいかわからなくて悩んでるみたいだけど、もうちょっと年上の、年齢的に恋愛対象外にされて数年経っている人たちに話してみたら?どうやったら誘われるようになるかとか、どうやって若い人たちに溶け込んでいけるかとかアドバイスもらえるんじゃない」ということ。

「いや、もう対象を外されて数年経ってたら、もう自分は対象外だって諦めてると思うよ。20代の子達と一緒にいること自体対象外だと思ってると思う」と言いました。

「じゃあ、もう自分は20代じゃないんだって諦めるしかないよね」と言われました。

異性として意識してもらえる年齢

女性にとって魅力的な男性というのは50代がピークなのに対し、女性は18歳をピークに下がっていく一方だという調査結果があります。これはアメリカですが、メディアにはいつも若い人たちばかりで溢れています。

受け入れること

いきなり会った人に結婚してくれと言われることももうないと思うと、ちょっと寂しいです(一回くらいしか経験してないけど)。別に彼氏がいるから、他の男に対象として見られなくてもいいと思う分、いつまでも若くいたい、若く見られていたいという気持ちからは逃れられません。

彼氏にも「もう、十分いろいろ経験したんだから、いいんじゃないの」と言われます。確かにそうだけど、まだたくさん一人で旅行して、旅行先で出会った人と話をして、一緒に食事に行ったり飲みに行ったりしたいのです。

ずっとすっぴんを通してきて「お肌に負担をかけないように、もうこれじゃあ外には出られないっていう肌になったらファンデーションを塗るようにする」と自分に誓っていましたが、もしかしたら今がその時なのかもしれません。そしたら「にじゅう・・・きゅう?」とちょっとは20代に見てくれる機会もあるかもしれません。

私より若いあなたに言いたいのは、やっぱり、何事も経験するなら若いうち!ということです。知らない男の子たちと出かけてワイワイ盛り上がるのも若いうちです。

若いっていいなあ

先日、イタリア人のルームメイトと映画を見ていたら、砂漠をキャンプカーで通るシーンがあり、それを見て「これ僕の夢なんだよね、アメリカをキャンプカーで旅行すること」と言うのです。

お姉ちゃんもそんなことやりたりけれど、できない可能性の方が大きいです。だから口にしてそんな夢を語ることさえ思いつきませんでした。でも、こうやって夢をもっている若い人たちと一緒にいると、元気をもらえます。

可能性はどんどん狭まってきているので、自分の思考もそれに合わせて狭まってきている気がします。だから20代の周りにいるのは無理してでもいいことなのかなと思ってしまうのです。

想像していなかったけど、急に自分の年齢を意識するようになったので、あなたもこんな日がいつか訪れるということを意識して、若さを楽しんで、スキンケアと自分磨きに力をいれてください。

お姉ちゃんより