なっちゃんへ
元気ですか?
今日は不景気について話をします。
いい就職先をすぐに見つけることができて、ずっと安定した職についていると、「不景気」を感じることはないかもしれませんが、景気がもっとよかった時代や悪かった時代と比べると、今普通だと思っている環境が普通ではないことに気がつきます。
この前ラジオで、同時多発テロ事件を知らない世代は、Z世代(GenZ)と呼ばれるということを知りました。今となっては中東で戦争が起きていることが普通で、飛行機に液体物を持ち込めないのも普通、銀行にお金を預けても利子がつかないのは普通、大学を卒業してすぐに就きたい職に就けずにいるのも普通にあることと思われているけれど、そうではない時代があったのです。
2001年に同時多発テロが起こり、2008年にリーマンショックが起こりました。Z世代は親がそれを経験したために、大学に行かせてもらえる資金がないことなどがあって、インターネットと一緒に育ってきた初めての世代であるその前の世代(ミレニアルズ又はY世代)とは違うといわれています。
これは主にアメリカの話で、日本ではバブル時代が1991年に崩壊して、ホリエモンのライブドア事件の前ITブームがあって、それが崩壊していらい「デフレ不況」になって今に至ります。
今では「デフレ」と言っているけれど、「デフレ」という言葉がまったく浸透していなかった時代、「どうしてこんなものが100円ショップで買えるんだろう」と驚いていた時代、デパートにブランド物があふれていて、デパートのレストランの食事はちょっと高級で、一般の人には縁のなかった時代があります。リストラという言葉もまだ出回り始めたばかりで、終身雇用はもちろんのこと、社宅など福利厚生もちゃんとしていました。日本のバブル時代の華やかさは、今では想像もつきませんが、ワニを借りてプールに放してプールパーティーをし、高級な金魚を餌をしてあげたなんていう話を聞いたことがあります。日本の企業がゴッホの「ひまわり」を何十億円で買い取ったのも、シャガールの絵がバブル時代の大富豪に気に入られて買われていたのもこの時代です。
景気がいい時は、アートを買う人がたくさんいて、今ではお金にならないからと諦めてしまうような美術系の仕事にもつくのが簡単だったはずです。働き口がたくさんあって、就活を何ヶ月もかけてする必要はなく、説明会に行くだけで内定がもらえたり、しかも面接の交通費は全額支給で、宿泊代も出してくれたりしたそう。
これから、コロナや日本の少子高齢化で、景気がまたかわるかもしれません。戦争やオイルショックや天災など、何が起こるかわかりません。銀行に預けているお金の価値が半減したり、ただの紙になることもあり得ないことではないのです。実際にこういうことが起こることを予測して、仮想通貨を買っている人もいます。
暗い話になってしまいましたが、視野を広くして、自分の住んでいる地域や国の外まで行くことができれば、それほど不景気から脱出することも可能です。お姉ちゃんは大学を卒業し、ずっと仕事を探していましたが、仕事口が見つからず、一緒に卒業した友達はスーパーなどで働いたり大学院に通いだしたりしていました。その中には海外に英語を教えに行って普通の職についた人もいます。お姉ちゃんも東京に行って、二人当たり三つの仕事があるという、受ければすぐに仕事をもらえる状況を目の当たりにして、ショックを受けました。仕事がない不景気な時代に卒業してしまったのだと憂いていたのが、環境を変えれば全くその逆だったからです。
今普通だと思っていることも、時代、世代、住んでいるところに特有のもので、それは短期間かもしれないし、自分が生きているうちには変わらないものかもしれません。仕事が見つからなかったり、家が買えなかったり、人生が思ったようにいかなかったりした時、それが自分のせいではないことや、同じ時代を同じように経験している人たちがたくさんいることや、環境を変えれば人生が変わるということを心に留めておいてください。
お姉ちゃんより